医療相談会にて


 強皮症の質問
(1)ある女性の質問 病歴8年
    服用薬:プレドニン2錠、メタルカプターゼ、ドルナー、ぺルサンチン、ストミン

今年の冬より手足が氷のように冷たく、左足の中指の先5mm位壊死、入院治療。なにかいい治療法はないですか?
又、肺高血圧症も進行、在宅酸素も常時4リットル、血圧も上80代、ほとんど動けない状態。
今後のご指導をお願い致します。


先生:残念ですけれども、強皮症の中でも大変難しい病気なんですね。肺高血圧がきますと、一番大変な病態ですので、なるべく静かに酸素を吸ってという生活になると思います。
指の先が壊死を起こすと言うことですが、これに関しましては、最近では、注射でやる血管拡張っていうのが有効です。それによって結構良くなりますし、高圧酸素療法もやったりしますけど、壊死の状態はなるべく治してあげたいと思うんです。
ただ、かなり治療は難しいですので、どうしても治らない場合もあります。
先ほど、安奈さんの話でも足を切断なさった方がいたということでしたけど、血管が細くなってしまったのは治りにくいので、早く治療しなくてはいけないんですけれども、強皮症の場合はなかなか治療法がありませんので、大変だと思います。
レイノー症状に関しましては、なかなか治らないことが多いですね。一時的になにかのお薬で多少は良くなりますけれども、必ずついてまわりますので。
SLEの場合は治ることが多いけども、その他の場合レイノー症状はほとんど治らないので・・・
ただ、レイノー症状を起こしますと、手だけと思いがちですけども、今の患者さんみたいに、肺高血圧症の方もおこしますので、手だけの問題と思わないで、体全体をいい状態においといた方がよろしいと思います。肺高血圧になりますと、心臓もやられてきますし、心不全を起こしますので、まぁ予防が大事だと思います。



司会:先ほどの質問の中で、肺をやられて声優が続けられなくなった方がいらっしゃいましたが・・(これは私のことです)


先生:SLEの肺線維症の場合は治るんです。ステロイドによってかなりよくなります。ただ、強皮症は治らないんです。大量にステロイドを使いますと、一時的に良くなりますけれど、進行は止めません。やめれば又元通りになります。
従って、肺線維症の特徴は、静かにしているとなんともないんですけれど、動くと動悸がする、階段を上がったり、坂を上がったりすると、息切れがする。
  安奈さんの場合、多分肺線維症は全然ないと思うんですね。その点、SLEと強皮症との肺線維症は性質が違いますので、同じように考えない方がよろしいと思います。
肺線維症は体全体に酸素が不足しますので、決していいことではないです。ただ、肺線維症自体はそんなに進むわけではありませんから、できる範囲でやっていただければいいと思いますけれど、できたらあまり激しいこと、苦しくなるようなことは避けたほうがいいと思いますね。


質問者:夜1階から2階の寝室まで行って、朝2階から1階へ下りたら、日中ただ座っているだけで、ちょっと動くだけで「はぁはぁ」となります。在宅酸素4くらい、トイレとか階段を上がるときは5にしまして、とにかく動くと苦しいということで、階段を上がってベッドに座ると「はぁはぁ」して、このまま死んじゃうんじゃないかと思うこともあります。しばらくすると落ち着くのですが 、発狂するんじゃないかという恐怖感とかあって、今後の進み具合とか生活の仕方とかについて聞いてきてほしいとのことです。

先生:肺線維症に関しては、静かにしていれば治まりますので、動いている時に酸素ボンベを吸っていればいいと思います。
残念ですけれども、あまりいい方法はないのでうまく酸素を使うということしかないのですけどもね。酸素の量をあまり多くしますと、炭酸ガスも同時に上がってきますので、炭酸ガスが体の中にたまりすぎちゃいますと、意識がおかしくなったりすることがあります。限度はありますけど、それももとに戻りますから、苦しくない程度に酸素をたくさんあげた方がいいと思います。
強皮症の一番極度に進んだ大変な状態だろうと思うんですけれど。


質問:入院していた時に、医師から右心室がだいぶ肥大してきていると言われ、右心室を覆っている膜が厚くなってきていると言われた。

先生:肺高血圧があって、抵抗があってそれに対応するために、だんだん厚くなってきていると思うんです。
今のところは酸素で抑える、あとは血管拡張薬を使うことなんですけど、ただ、血圧がかなり低いということで、血管拡張薬を使うと又血圧を下げますので、それも非常に使いにくい状態ですね。


質問:とにかく安静しかないと。

先生:動ける範囲で動いていただいて、今のところ医学では残念ですけど、それ以上のことはできないかもしれないですね。
研究も進んでいますので、もう少したつとなんとかなるようには思うんですけどね。


(2)私の質問 病歴3年
      服用薬:クラリス錠、ニューロタン、プロサイリン、ユベラニコチネート、ムコスタ錠、ガスモチン、シナール、メジコン錠、タケプロンOD
動悸が起こると顔がほてってきます。いきなりそれがくるのですが、更年期障害からなのか、間質性肺炎が原因なのかがわからないのですが。


先生:間質性肺炎では顔がほてるということはないですけども、間質性肺炎を治療するためのお薬でなることはあります。プロサイリンが顔がほてったりする可能性がありますね。
あと、強皮症の方は必ずほとんど100%に近いほど、シェーグレン症候群を合併しております。シェーグレン症候群というのは、更年期障害に近いような、非常に不愉快な症状をいっぱい起こします。
更年期障害といわれたり、自律神経失調症と言われたりする方がすごく多いので、シェーグレンによる状態という可能性もあります。プロサイリンを止めても同じ症状がおこるのでしたら関係ありませんので、プロサイリンのために起こっているんでしたら、プロサイリンをやめればすぐ元に戻りますので。
ずっと飲んでなくっちゃいけないというお薬でもありませんから、ちょっと休んでいただいて、その顔のほてりがどうなるか、様子をみていただいて、関係なかったらまた再開すると言う形をとればはっきりすると思いますね。
シェーグレンの方ですと、これはなかなか治りにくいので、やはり自律神経に対するお薬をさらに増やすという形を考えないといけないですね。


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