強皮症の原因と治療


●強皮症の原因

現状では原因は不明
「未知の異物」に過剰な免役反応か
●強皮症の治療
末梢循環を改善する対照的治療
皮膚などの組織の線維化を防止する治療
●強皮症の診断基準(厚生省1992年)
1中手指関節より近位の皮膚硬化(proximal scleroderma)ありの時
(1)Raynaud症状
(2)抗核抗体の異常
(1)あるいは(2)の一方でも陽性の場合強皮症と診断してよい

2 中手指関節より近位の皮膚硬化(proximal scleroderma)なしの時
(1)皮膚・粘膜症状
Ⅰ:sclerodactylia
Ⅱ:その他の皮膚・粘膜症状
 (a)pitting scar
 (b)爪上皮の延長
 (c)全身色素沈着
 (d)顆粒状角化
 (e)舌小帯短縮
I: が陽性かIIの(a)~(e)の5項目中2項目以上が陽性の場合を(+)とする
(2)検査所見
Ⅰ:両側下肺野線維症(X-P又はCT)
Ⅱ:食道下部無動性拡張又は蠕動低下(X-Pまたは内圧検査)
Ⅲ:組織学的硬化(前腕伸側皮膚)
Ⅳ:血清検査((a)か(b)のいずれかの陽性を(+)とする)
(a)トポイソメラーゼ I抗体
(b)セントロメア抗体
I~IVの4項目中2項目以上が陽性の時(+)とする
(1)および(2)の両項目が(+)の場合強皮症と診断してよい

注(2)IV血清検査において抗RNP抗体が高値の場合には混合性結合組織病(MCTD)も考慮する

膠原病の治療薬剤ステロイドホルモン

●ステロイドホルモンとは
体内で作られている必須の副腎皮質ホルモン
●膠原病の治療薬ステロイド剤
ステロイドには抗炎症作用と免役抑制作用がある。ステロイドホルモンは、糖質糖質コルチコイド(グロココルチコイド)と、鉱質コルチコイド(ミネラルコルチコイド)の二つに大別されます。
そして、糖質コルチコイドの作用をもった副腎皮質ホルモンが科学的に合成され、膠原病における治療薬剤として使われています。
◆「両刃の剣」ステロイド剤の副作用
◆ステロイド剤の服用で見られる症状
■易感染性・・・ステロイド剤を大量かつ長期に服用している時は、感染症にかかりやすくなる。
■消化性潰瘍・・・ステロイド薬服用中に胃潰瘍や十二指腸潰瘍が怒ることが知られています。
■糖尿病・・・ステロイド剤は糖尿病を引き起こすこともあります。
■高血圧症・・・膠原病の治療に用いられているステロイド薬は糖質コルチコイドですが、鉱質コルチコイドの作用も一部含んでいます。
このため、鉱質コルチコイド作用である高血圧やむくみを引き起こす原因になります。
■骨粗鬆症・・・骨もステロイド剤の影響を受ける臓器の一つです。
■大腿骨頭壊死・・・ステロイド剤を長期に服用している方が股関節が痛くなってきたときには、大腿骨頭壊死を疑う必要があります。
■精神・神経症状・・・ステロイド剤で注目されるものには、精神症状があります。個人差が大きく何も症状の出ない人もいるし、大量に服用すると、時には鬱状態になったり、不眠になったりする人もいます。
■クッシング兆候・・・ある量以上のステロイド薬(成人ではプレドニゾロンで1日5~10mg以上)を服用していると、顔が丸くなったり(満月様顔ぼう:ムーンフェイス)、肩に脂肪がついたり(野牛肩)、体に比べて手足が細くなったり(中心性肥満)、毛深くなったり、にきびのような発疹が出たりします。
これらはクッシング徴候と呼ばれています。クッシング徴候はステロイド薬の減量とともに徐々に目立たなくなります。なお、皮膚に線状の模様(皮膚線状)が見られる場合がありますが、急激な体重増加を避けることで、症状を軽くすることができます。
■白内障と緑内障・・・目のレンズ部分(水晶体)が曇ってしまう白内障や、眼圧が上昇して視力障害に至る緑内障が起こることがあります。
■筋力低下・・・筋肉の力が弱くなってしまうことがあり、ステロイド筋症と呼ばれています。中等量以上(成人ではプレドニゾロンで1日20mg以上)のステロイド薬を服用している場合に多く見られる。
■副腎不全・・・長期間ステロイド薬を服用していると、体は自分自身の副腎からステロイドをつくる必要を感じなくなるため、副腎は萎縮してステロイドをつくる力が失われてしまいます。
この状態でステロイド薬の服用を急にやめてしまうと、本体。副腎からつくられるステロイドがないために、ステロイドの生理作用が失われ、低血糖、ショック、下痢、発熱などの命にかかわる重大は症状が起こる可能性があります。危険なので、長期に服用中のステロイド薬を急にやめることは決してしないでください。


膠原病の治療に用いられる主な薬剤
抗炎症作用抗免疫作用効果発現の速さ副作用
ステロイド薬強い強い速い強い
免疫抑制薬ほとんどなし強い遅い強い
免疫調整薬ほとんどなし中程度*遅い中程度
非ステロイド性抗炎症薬ありほとんどなし速いあり

*免疫調整作用

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